ミーティング矢本の流儀BLOG

コロナ禍で管理ではなく成長支援に変わる日報②(ミーティング視点)

こんにちは、ミーティングコンサルタントの矢本です。

前回のブログでコロナ禍で「業務内容の把握、教育方法、それに伴う評価」について会社やリーダーが悩んでいる現状やミーティングや会議でその議題が増えてきていること。そしてコロナに限らず日報がその遠隔育成の解決策の一つであることを書きました。

そのためには日報を「会社の管理ツール」という視点をやめる。それより業務内容をアウトプット(書く)して自分自身の「仕事の生産性を高めるツール」(成長支援)という定義をして役立てている企業が伸びていることを紹介しました。

前回のブログ「リモート有無関係なく見直される日報の役割」

(先日訪問した六本木ヒルズのクライアント先でも日報テーマでした)

今回は部下の「やる気」「主体性」など、波があり個人差の出る気持ちだけに頼るではなく、日報という設計を通じて誰しもが持つ「環境への適応能力」を生かすという方法を紹介します。

例えば、多くの企業は「お客様情報を報告しろ」「改善点を定期的に提案しろ」と現場の声を拾うことは重要だとわかっていて部下に求めているが、実際にはできていないところが多いですよね。なぜか?

要因は企業が個人のやる気や積極性という「個々の主体性」のみに依存しているから。そして報告がない現状を「あいつはやる気がない」「積極性が足りない」で終わらせているケースが多いのです。

しかし部下の立場で言えば「報告するタイミングがない」「どこまで報告すべきかわからず些細な内容を忘れてしまいがち」などの悩みも持っています。組織のこの状態は本当に部下だけの問題でしょうか?

逆に「適応能力を活かす」方法の一つである日報を充実させることは、個々の主体性を「依存」だけで終わらせず、逆に「引き出す」ことにもつながります。適応能力を活かすとはどういうことか?

例えば車の運転。習い始めた時は「まずブレーキ踏み、シートベルトをして、ドライブに入れて、ウィンカー出して、ミラーや目視で周りを確認して、大丈夫ならブレーキ外して、アクセルをゆっくり踏む」(合ってるかな?笑)。これらの行動を最初は意識しながら時間をかけて緊張感を持って行います。しかし繰り返していく中で段々意識せず、自然とできるようになりますよね。このように人は新しいものへの「適応能力」があり、これを仕事でも活かしていくことで自然に成長を促す考え方です。

つまり「日報を全て記載する」という環境変化に対し最初はストレスを感じますが、繰り返す中で最終的には日々の当たり前のルーティンとなり、会社に対し必要なアウトプットができるようになるわけです。

適応能力を活かすとはどういうことか、少し理解していただけたでしょうか。

では具体的にどんな項目を入れると成長支援ツールに変わるのか?を紹介します。

成功している企業のお勧めの7項目

1、本日の優先業務(または本日の目標)※

2、一日のスケジュールの「計画」※

3、     〃    「結果」

4、会社へ報告・連絡・相談・提案(お客様情報)

5、      〃       (社内業務)

6、個人としての振り返り(良かった点)

7、    〃     (課題&改善点)

どの項目をいつ書くのが良いか?

もしこの7つの項目をあなたの会社が全て取り入れる場合、注意点は書き方です。

当日業務が終わったら「3〜7の当日分の記入」と「翌日分の1と2の記入」が基本です。つまり今日の一部と明日の一部を同時に書きます。こうすることで1.2の項目は始業前に前もって書かれています。その日の行動スケジュールを前日にイメージ(計画)していることがポイントです(当日始業前に書くのもOKですが実績比較した場合、前日夜に書いた方がより成果が高い)。

各項目の記載ポイントや記載意図について

1、本日の優先業務(または本日の目標)

優先順位の高い順に上位3つ(前日記載)。その日の業務優先順位を明確&共有が目的。優先順位の高い仕事を後回しにして、目の前の仕事に追われている人が多いため。

2、一日のスケジュールの「計画」

仕事も含め、その日予定している仕事を時間毎にスケジュールに落とし込んで見える化(前日記載)。今日は何をするのか?その業務にどれくらい時間がかかるのか?を写真でいえば左側に記載。

3、一日のスケジュールの「結果」

ここからが当日仕事を終えてから記載。実際のスケジュールを右に記載して事前計画と比較して何が違ったのか?今後どうすればこの誤差を改善できるのか?毎日自己分析することでだんだん実効性の高い計画力が身につく。

※左の始業前(計画)と右の終業後(結果)の誤差を比較して今後に生かす

4、会社へ報告・連絡・相談・提案(お客様情報)

現場で起きているお客様の声(経営メンバーが一番見えなくなりやすい)を会社としてピックアップする仕組み。お客様の声を経営判断に生かすことが重要だと思っていても、実際拾えない事が多いので仕組みでピックアップする。最初はとにかく内容よりも報連相する事が優先だが、最終的には個人としての改善案をつけられるように促していく。

5、会社へ報告・連絡・相談・提案(社内業務)

ここは社内の業務に関わること。例えば「この業務とこの業務が被っていて無駄だと思う」など。更には「この被りは●●する方法で統一したら良いのではないでしょうか?」という提案になっていればベスト。

6、個人としての振り返り(良かった点)

個人として内省し、ここでは視点のバランスを保つことが目的。人はできていないことに視点が集まりがち。だからここでは「お客様に言われて嬉しかった事は?」「今日、仲間に何かサポートしてもらったことは?」「昨日より進んだことは?」など当たり前だけど見失いがちな「目の前の幸せ」に気づく視点を持つ。

7、個人としての振り返り(課題&改善点)

同じく個人としての内省だが、ここでは6とは逆に課題を認識する。そしてただ「できなった」「次回は頑張る」ではなく、具体的な解決策とセットで考える癖を促すのがポイント。まず自身で課題の認識し、言い訳ではなく解決策(考える力)を養うことが目的。

※4.5は会社全体としての内容、6.7は自分自身の内容と分けて考え、記載する

成果(パフォーマンス向上)と継続につなげるポイントは?

確実に成果につなげていくためには継続性と精度の向上がポイント。そのためには基本、全て必ず記入するルール(環境)がお勧め。「書けるところだけ」にすると人は楽な方に流れるため、みんなだんだん書かなくなる。「必ず全て書く」というルールにより普段から記載ネタのアンテナを張るようになり書く時間も早くなる。また精度の高い良い日報を共有することで個々の精度も上がる。

そして継続につなげるためには、見る側(リーダーや経営側)も「こんなつまらないことを書いて」とダメな指摘をするのではなく、書く努力を褒め「ここにヒントが眠っているかも」という視点で目を通すこと。リーダーは全部自分が把握できるわけではないのでこの日報を「ダメ出しの粗探し」ではなく「より良い経営判断するための情報収集」と定義することです。

まとめ

まずは日報を単なる「管理ツール」ではなく「成長支援ツール」といいう視点で取り組むことで双方(経営側・スタッフ)にとって効果的なものにすること。

大切なのは「やる気」「主体性」という、波があり個人差の出る気持ちだけに頼るではなく、日報という仕組みを通じて誰しもが持つ「環境への適応能力」を生かすということ。

また項目次第で必要な視点を養え、成長につながる事も大切なポイントです。

ですから、今回7つ項目例を挙げましたが、それにこだわる必要はありません。

各社で大事にしていることがあり常に頭に入れてほしい時は、その項目を日報に加え毎日その視点を持ってもらえるようにカスタマイズしてください。

人は(僕も)忘れやすく楽な方に流れていく生き物だから、育成を個人の「やる気」に依存するのではなく「適応能力」を活かした方法も上手に活かしていきましょう。適応能力の生かす仕組みとして今回は日報を紹介しましたが、もちろん他にも色々な設計が考えられますよね。前回と今回の日報ブログが連相で悩んでいる企業の少しでもヒントになれば嬉しいです。

 

【今日の質問】

あなたの会社の日報、どんな項目を入れると効果的ですか?

 

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